ここには家族と共に農業できる環境があるんです 三宅義幸 36歳北海道出身

空では雲雀がピーヒョロと鳴いている。渋川市の旧赤城村に広がる広大な農場では、農場長を務める三宅義幸が、車輪の直径が人の背丈ほどもある100馬力のトラクターを操っていた。これからこんにゃくの種玉を植え付けるために、緑肥を梳きこんでいるのだ。ここには春まで、ライ麦が植えられていた。根がよく発達し丈も2m近くになるライ麦を、緑肥として梳きこむのはかなり労力の要る仕事。植え付けまでの2週間の間に、3~4回ロータリーをかけなければならない。「有機質をどれだけ入れるかで、土はどんどん変わっていく。こんにゃく芋は繊細なので、土の排水性や通気性がモノをいうんです」。そう言って、手にした生子(きご)に目をやった。昨秋に掘り起こした1年玉で、これを植え付ける土づくりである。こんにゃく芋は収穫までに3年、植えては掘り起こす作業をくり返す手のかかる作物。北海道生まれの三宅は、NGOを経てこの会社に入った。その理由を、家族と共に安心して農業に取り組める環境だから、と語る。土の中のいのちを知って深まる絆が、三宅を耕す人にした。

手にした生子をそっと取り扱う手つきから、三宅の中にある芋への愛着を感じる。

現場からのドキュメント

三宅 義幸 スタッフ2